新型コロナ 5月8日に「5類移行」正式決定 厚生労働省

新型コロナの感染症法上の位置づけについて、厚生労働省は、5月8日に季節性インフルエンザなどと同じ5類に移行することを正式に決定しました。

新型コロナの感染症法上の位置づけについて厚生労働省は27日、専門家による部会で現在の感染状況や変異株の状況などを踏まえ、5月8日に季節性インフルエンザなどと同じ「5類」へ移行することを最終的に了承しました。

そして、加藤厚生労働大臣が会見で5類への移行を正式に公表しました。

5類移行後の医療提供体制について厚生労働省は幅広い医療機関で受け入れる体制に移行する方針で、外来診療は、季節性インフルエンザの検査にあたった全国の6万4000の医療機関で受け入れる体制を目指すとしています。

入院は、夏の感染拡大に備えておよそ8400の医療機関で、最大5万8000人の患者を受け入れる体制を確保していて、行政が行っている入院調整は原則、医療機関の間で行う仕組みに段階的に移行します。

また、医療費の窓口負担については、検査や陽性が判明したあとの外来診療の費用が自己負担に見直されます。

このほか、流行状況の把握については指定した医療機関に週1回報告してもらう「定点把握」に変更されます。

一方、外出や営業の自粛などを政府や自治体が要請する法的な根拠はなくなり、厚生労働省は療養期間の目安として発症の翌日から5日間は外出を控えることが推奨されるとする考え方を示しています。

加藤厚労相「平時に向けて大きな一歩を踏み出した」

加藤厚生労働大臣は記者会見で、「科学的な前提が変わるような特段の事情が生じていないことを専門家に確認いただいたので、予定どおり5月8日以降は新型コロナを『5類感染症』に位置づけることを決定した」と発表しました。

そして、「平時に向けて、大きな一歩を踏み出したということになるが、ウイルスそのものは消失するわけではなく、医療機関や高齢者施設、自治体の職員など関係者には必要な対応をお願いすることになる。今後とも、国民に理解と協力をいただきながら、新型コロナへの対応を進めていきたい」と述べました。

一方で、「オミクロン株とは大きく病原性が異なる変異株が出現するなど、科学的な前提が異なる状況になれば、直ちに対応を見直すことにしている」と述べました。

専門家 “今後も新しい生活様式続けていくことが大事”

感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は「5類に移行するのはウイルスが変化したからということではなく、感染やワクチンの接種で、ある程度免疫を持つようになり重症化する人の割合が減ってきたことが背景にある。若くて健康な人は、ある程度、生活をコロナ前の状態に戻すことはできるが、高齢者や糖尿病や腎臓病といった基礎疾患のある人など、感染で重症化するリスクが高い人たちは引き続き注意が必要だ」と話しています。

また、今後求められる感染対策については「リスクの高い人は、外を歩くときにはマスクを外しても、密なところや屋内に入るときにはマスクを着用したほうがいいと思う。また、集まりが長時間にならないよう注意も必要だ。若くて健康な人であっても、高齢の親がいる場合には、自宅に感染を持ち込まないよう気をつける必要がある。今後も感染が広がっている時期には、感染を防ぐためにお互いに距離を取るべきで、新型コロナの流行を経て学んだ新しい生活様式は続けていくことが大事だと思う」と話しています。

濱田特任教授は現在、感染者数が徐々に増えてきているとして、その背景に、年度替わりの時期に地域を越えた人の移動があったことや、マスクを外す人が少しずつ増えてきたこと、それに、感染やワクチンの接種で獲得した免疫が少しずつ下がってきたことがあるとしています。

そのうえで、新型コロナは呼吸器の感染症という特徴から、接触が増える時期や冬場に感染者数が増えると考えられるとしていて「中長期的に考えた場合、ことしの夏やお盆の周辺、11月や12月ごろに大きな流行が起こる可能性は高い」と述べ、今後も注意は必要だと指摘しました。